2026-08-10
構造見学会で木材の保管状態をじっと見た――そんな方は、勘所が良いのだと思います。柱や梁は完成すれば壁の内側に隠れ、二度と目視できません。だからこそ、見えなくなる前の状態をどう管理しているかが、住まいの安心を大きく左右します。
構造材の品質は「どの樹種を使うか」だけでは決まりません。実際に反りや収縮を左右するのは、木材に含まれる水分の量(含水率)と、現場に届いてから施工されるまでの保管・扱いです。同じヒノキでも、しっかり乾燥した材と濡れたまま組まれた材では、完成後の挙動がまるで違います。この記事では、乾燥材の目安となる含水率20%以下、JAS製材の考え方、現場での雨養生、そして含水率計による測定記録という4つの軸で、「見えなくなる部分をきちんと管理できている会社か」を、各務原で家づくりを検討する立場から判断する方法を整理します。専門家でなくても、質問の仕方さえ分かれば見抜けます。
一言でいうと、構造材の安全性は「樹種」より「水分状態の管理」で決まります。最も重要なのは、含水率が20%以下に管理された乾燥材を選ぶことに加え、その材を現場で濡らさず、施工時に測って記録できる体制があるかどうか。この2つがそろって初めて、壁の中に隠れる柱や梁の品質を、あとから確認できなくても信頼できます。逆にいえば、受入検査・雨養生・測定記録という3点を示せる会社に相談すれば、見えなくなる部分の管理水準を、契約前に判断できるということです。
伐採直後の木は、想像以上に水を含んでいます。生材の含水率は樹種や部位によって60〜150%、飽水状態では200%近くに達することもあります。ここでいう含水率とは、木材に含まれる水分の重さを、完全に乾いた状態の木材の重さで割った割合のこと。100%を超えるのは、木の重さと同じかそれ以上の水を含んでいるからです。この水が抜けていく過程で、木は縮み、反り、ときにねじれます。
水分の抜け方には節目があります。含水率が約30%まで下がる点を繊維飽和点と呼び、ここまでは細胞の隙間にある「自由水」が抜けるだけで、寸法はほとんど変わりません。問題はその先です。繊維飽和点を下回ると、細胞壁の「結合水」が抜け始め、いよいよ木が縮み・反り・割れといった変化を見せます。日本の屋内では、木材はやがて含水率15%前後(気乾状態・平衡含水率)で落ち着きますが、施工時の含水率が高いほど、この15%へ向かう途中で大きく動くことになります。
正直なところ、含水率をゼロにはできませんし、その必要もありません。目安になるのが、構造用の製材で広く使われる「含水率20%以下」という水準です。繊維飽和点の30%を十分に下回っているため、施工後の寸法変化を実用上問題ない範囲に抑えやすくなります。よくあるのが「無垢だから反る」という誤解ですが、実際には無垢か集成材かという以前に、しっかり乾いているかどうかの影響が大きいのです。
乾燥のさせ方は大きく2つです。人工乾燥材(KD材)は、乾燥機で温度や湿度を管理しながら短期間で水分を抜いた材で、最短数日から1カ月ほどで仕上がります。品質が安定しやすく、施工後の含水率変動が小さいのが強みです。一方の天然乾燥材(AD材)は、桟を組んで屋外や屋内で1〜2年以上かけてじっくり乾かす方法。木の色つやや香りが残りやすい反面、乾燥の均一さは管理の腕に左右され、含水率が高めのまま出回ると施工後に動きやすい面もあります。ケースによりますが、構造材で安定を重視するならKD材、あるいはKDとADを適材適所で使い分ける考え方が一般的です。どちらが正解というより、含水率が管理されているかが本質です。
実は、乾燥の度合いは表示で確認できます。製材の日本農林規格(JAS)では、乾燥処理をした構造用製材について、含水率の水準を記号で示します。未仕上げ材ならD25(25%以下)・D20(20%以下)・D15(15%以下)、仕上げ材なら人工乾燥を示すSD20・SD15といった具合です。数字が小さいほど、より乾いた材ということ。JASの認証を受けた製材は、含水率だけでなく強度の等級区分(目視等級・機械等級)も第三者基準で示されるため、「なんとなく良い木」ではなく、根拠のある品質として比較できます。相談時に「構造材はJAS製材ですか、含水率の等級は」と一言聞けるだけで、話がぐっと具体的になります。
ここが見落とされがちです。どれだけ乾いた良い材を仕入れても、現場で雨に濡れれば木は再び水を吸い、含水率は戻ってしまいます。上棟前後に構造材が長く雨ざらしになったり、地面に直置きされて湿気を吸ったりすれば、せっかくの乾燥材が台無しになりかねません。だからこそ、シートで覆う雨養生、材を地面から離して保管する配慮、濡れた場合に乾かしてから閉じるといった現場の扱いが、材そのものの等級と同じくらい効いてきます。「良い木を使っています」という言葉と、「その木を現場でどう守っているか」は、別の話として確かめる価値があります。
含水率の測り方は主に3つです。もっとも正確なのは全乾法で、木材を105℃前後で完全に乾かし、乾燥前後の重さから水分量を算出します。精度は高いものの時間がかかるため、抜き取り検査向きです。現場で使われるのは、材に針を刺して電気の通りにくさから測る電気抵抗式と、材を傷つけずに素早く測れる高周波式の含水率計。スピードと簡便さから、受入時や施工前のチェックにはこれらが用いられます。数値には測定のばらつきもあるため、定期的に全乾法で照合しておく丁寧さがあると、より信頼できます。
壁を閉じてしまえば、柱や梁の含水率はもう測れません。だからこそ、材が現場に届いた受入の段階、そして施工の段階で含水率を測り、記録しておくことに意味があります。「いつ、どの材を、いくつで測ったか」という記録は、見えなくなる部分の品質を後から説明できる唯一の証拠のようなもの。よくあるのが、完成後に不安になって聞いても記録がなく、確かめようがないというケースです。逆に、含水率の測定記録や受入検査の仕組みを持つ会社なら、あなたが立ち会えない工程についても、数字で説明を受けられます。
各務原をはじめ岐阜は、内陸で夏と冬・昼と夜の寒暖差が大きく、木曽三川に近い地域では湿気にも配慮が要ります。こうした環境では、施工後の含水率変動を小さく抑える意味が一層大きくなります。難しい専門用語を覚える必要はありません。「構造材の含水率はいくつを目安にしていますか」「JAS製材ですか」「現場での雨養生はどうしていますか」「含水率の測定記録は見せてもらえますか」――この4つを尋ねるだけで、管理の水準はかなり見えてきます。答えに詰まるか、すらすら数字で返ってくるか。そこに、見えなくなる部分への姿勢が表れます。
A1. 構造用の乾燥材では含水率20%以下が一つの目安です。繊維飽和点の約30%を十分下回り、施工後の反りや収縮を抑えやすくなります。より安定を求めるなら15%以下(D15など)も選べます。
A2. 優劣というより特性の違いです。KD材(人工乾燥)は含水率が安定しやすく施工後に動きにくい一方、AD材(天然乾燥)は色つやや香りが残りやすい傾向です。構造の安定重視ならKD材や適材適所の使い分けが一般的です。
A3. 含水率の等級(D20・SD20など)と強度の等級区分が、第三者基準で表示されます。「乾いていそう」ではなく、数値の裏付けで比較できる点が利点。相談時にJAS製材かどうか尋ねてみてください。
A4. 可能性はあります。屋内は含水率15%前後で落ち着くため、施工時の含水率が高いほど動く余地が残ります。だから20%以下の乾燥材を選び、現場で濡らさない管理を重ねることが変化を小さくします。
A5. 濡れ自体より、その後の扱いが重要です。木は水を吸えば含水率が戻ります。雨養生をしているか、濡れた材を乾かしてから閉じているか、含水率を測って確認しているかを尋ねると、管理の丁寧さが見えます。
A6. 現場では針を刺す電気抵抗式や、傷つけない高周波式の含水率計が使われます。より正確な全乾法は抜き取り検査向きです。立ち会いや記録の共有をお願いすれば、専門家でなくても数値を確認できます。
A7. 壁を閉じた後の直接確認は困難です。だからこそ、受入時や施工時の含水率測定記録が「見えない部分の証拠」になります。記録を残し、見せてもらえるかどうかを、契約前に確認しておくと安心です。
A8. 「含水率の目安」「JAS製材か」「現場の雨養生」「測定記録の有無」の4点です。数字ですらすら答えられるかが目安。1社で即決せず、複数社に同じ質問をして、答え方を比べると判断しやすくなります。
構造材の安全性は、樹種のブランドよりも、水分をどう管理するかで決まります。乾燥材の目安である含水率20%以下、JAS製材による含水率と強度の表示、現場での雨養生、そして受入・施工時の測定記録――この4つがそろえば、壁の中に隠れて見えなくなる柱や梁の品質を、あとから確認できなくても納得して任せられます。なお、耐震等級や補助制度などと同様に、基準や運用は見直されることがあるため、最新の内容は各窓口で確認してください。まずは気になる会社に「含水率の目安と、現場での雨養生、測定記録を見せてもらえますか」と尋ねてみる。その答え方に、見えない部分への姿勢が表れます。各務原やその周辺で家づくりを考えるなら、複数社に同じ質問を投げかけ、自分たちの土地・予算で無理なく良い構造材を選べるか、まずは相談して確かめることをおすすめします。
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