2026-02-28
家づくりで何を優先すべきか迷うときは「価値観の言語化」が最初の一手です。価値観がはっきりすれば、間取り・設備・予算配分の判断軸がそろい、迷いはぐっと減ります。
価値観を言語化しないまま家づくりを進めると、選択肢ばかり増えて「決められない」「決めても不安」という状態に陥りやすくなります。理由は、間取りや設備の良し悪しを判断する「物差し」が家族の中で共有されていないからです。
たとえば、収納量を増やしたい人と、開放的なリビングを優先したい人が同じ図面を見ても、どちらの意見も正しいのに対立が起こります。しかし「毎日の家事が楽になることが最優先」「将来の売却価値より、今の暮らしやすさを優先」など、価値観を先に決めておけば、判断は自然にそろっていきます。
迷いの正体は価値観の違いそのものではなく、その整理と共有が足りていないことです。夫婦で意見がぶつかるとき、多くの場合は「どちらが正しいか」を話してしまい、「なぜそう思うのか」が語られていません。
たとえば「和室はいらない」という意見の裏側には「掃除の手間を増やしたくない」「来客はリビングで十分」などの理由が隠れています。この理由を共有すると「来客用の個室は不要だが、子どもの昼寝スペースは欲しい」など、共通解を設計に落とし込めるようになります。
まず判断基準をつくるべき理由は「迷いが減る」「後悔が減る」「打合せが短くなる」の3つです。
たとえば住宅展示場やSNSで情報を集めすぎると、「良さそうなもの」は増えますが「自分にとって必要なもの」は見えにくくなります。そこで、先に「マスト(絶対に外せない条件)」と「ベター(できれば叶えたい条件)」を分けておくと、検討の優先順位が付けやすくなります。
実際に、成功している施主ほど「家事のしやすさが最優先」「趣味の時間を守れる間取り」など、判断軸を事前に言語化してから情報収集を始めています。
最も大事なのは、価値観の整理を後回しにすると、あとから間取りの修正や追加工事でコストもストレスも増えるということです。
たとえば、デザイン重視で決めた結果、引っ越し後に「収納が足りず、常に片付かない」「動線が悪くて家事時間が増えた」という後悔はよく報告されています。また、将来の介護や子どもの独立を想定せずに間取りを決めると、10年後に使いづらくなり、大規模なリフォームが必要になるケースもあります。
こうした失敗は「どんな暮らしを長く守りたいのか」という価値観を、最初に言葉にしていれば防げる可能性が高まります。
家づくりの価値観の整理は「今の一日を書く」「10年後を描く」「マストとベターを分ける」という3ステップで進めると効果的です。図面の前に「暮らしの構造」を言語化するイメージです。
たとえば、平日の朝から夜までの動きを家族ごとに書き出し、「どこで困っているか」「どこを楽にしたいか」を整理します。さらに、10年後・20年後の家族構成や働き方の変化も想像し、「変わらない価値観」と「変化に合わせたい部分」を分けておくと、長く心地よい家に近づきます。
初心者がまず押さえるべき点は、図面ではなく「暮らし方」からスタートすることです。
用意するのは紙とペン、もしくはスマホのメモだけで構いません。平日の1日を、起床〜就寝まで1〜2時間ごとに区切り、家族一人ひとりの動きを「どこで」「何をして」「どう感じているか」の3つで書き出します。
たとえば「朝7時:キッチンが狭く、2人立つと動きにくい」「夜21時:洗濯物を2階に運ぶのが負担」など、具体的な不満やストレスを見える化すると、必要な間取りや設備の方向性が自然と見えてきます。
「未来の暮らしの読み物」を自分たちで書いてみる作業です。
具体的には、「子どもが小学生になった頃」「子どもが独立した後」「親の介護が必要になった場合」など、3つ程度の未来の場面を想像し、それぞれの1日を短いストーリーとして書きます。
たとえば「休日の朝、夫婦それぞれが好きな場所で本を読み、その間に子どもはリビングで友達と遊んでいる」などです。こうしたストーリーから「個室よりも居場所のバリエーションが大事」「庭とリビングのつながりを重視したい」といった価値観が浮かび上がり、設計の指針になります。
価値観の言語化を設計に落とし込むには「マスト」「ベター」「あきらめてもよい」の3分類が有効です。
たとえば「マスト:家事動線を短くしたい」「ベター:吹き抜けリビング」「あきらめてもよい:ガレージ付き」など、各項目に優先度を付けていきます。このとき「なぜそれが大事なのか」という理由も一緒に書くと、設計者にも伝わりやすくなり、限られた予算をどこに集中的に使うべきか判断しやすくなります。
実例として、限られた予算の中で「断熱性と耐震性を最優先し、内装のグレードは抑える」という価値観を共有した施主は、後からの光熱費や安心感の面で満足度が高いという報告もあります。
最も大事なのは、「どんな家を建てるか」ではなく「どんな暮らしを育てたいか」から設計判断を行うことです。
家づくりの考え方として、土地や間取りの検討より前に「暮らしのコンセプト」と「判断ルール」を決めておくと、あらゆる選択が一貫します。具体的には、「生活のしやすさ」「安心・安全」「感性・デザイン」という3つの軸で、自分たちがどこに重きを置くのかを点数や順位で可視化します。
そして、打合せで迷ったときには、その軸に立ち返って「この選択は、わが家の価値観を高めるかどうか」で判断することが、後悔を減らす近道です。
暮らし起点設計とは、「図面ではなく暮らしの構造から家を設計する考え方」です。
一般的な家づくりでは、延床面積や部屋数といった「形」から検討が始まりがちですが、暮らし起点設計では「どんな時間をどこで過ごしたいか」「どのような関係性を育てたいか」など、暮らし方を先に言語化します。
これにより、同じ3LDKでも「在宅勤務を前提としたワークスペース重視型」「子どもの遊びと学びを見守れるリビング中心型」など、価値観に応じた設計が可能になります。日本の住宅計画の研究分野でも、住まい手の価値観やライフスタイルを設計論に落とし込む重要性が指摘されており、実務レベルでも注目される考え方です。
家族間の価値観の違いをなくす必要はなく、「違いを前提にルールを決める」ことがコツです。
具体的には、まずそれぞれが個別に「希望」「不安」「絶対に避けたいこと」を書き出し、その後で「似ている点」「優先したい点」を一緒に確認します。このとき、「結論」ではなく「理由」を先に話すと、感情的な対立になりにくくなります。
たとえば「対面キッチンがいい」のではなく「子どもの様子を見ながら料理したいから対面キッチンがいい」と説明することで、設計者も含めた全員が同じ価値観を共有しやすくなります。
「会社の価値観」と「自分たちの価値観」が合っているかどうかが、パートナー選びの重要な基準です。
大手ハウスメーカーは保証やブランド力が強みであり、一方で地元の設計事務所や工務店は設計の自由度や暮らし方の提案力に強みを持つことが多いとされています。そのため、「資産価値や安心感を最重視するのか」「暮らし方のオリジナリティを重視するのか」といった自分たちの価値観を明確にした上で、会社選びをすることが大切です。
さらに、打合せの初期段階で「暮らしの話をどれだけ聞いてくれるか」を確認すると、自分たちの価値観を設計に反映してくれるパートナーかどうかを見極めやすくなります。
A1. 最初にやるべきことは「家族の価値観を言語化すること」です。間取りや住宅会社選びより先に、今と未来の暮らしで大事にしたいことを書き出すと、判断軸が整い迷いにくくなります。
A2. 「1日の動き」と「10年後の暮らし」を書き出し、「マスト」「ベター」に分類する方法がおすすめです。時間×場所×感情で現状を整理し、将来のストーリーを想像してから、優先順位を付けると具体的な設計条件に変換しやすくなります。
A3. 価値観を「合わせる」のではなく「違いを前提に整理する」ことが大切です。それぞれの希望と不安を紙に書き出し、「なぜそう思うか」の理由を共有した上で、家族としての共通ゴール(例:家事負担の軽減、子どもとの時間を増やす)から優先順位を決めると合意しやすくなります。
A4. 「価値観と判断基準を整理した後」に始めるのが理想です。先にSNSや展示場で情報を集めすぎると、必要性より流行で選びやすくなり、判断がぶれやすくなります。まずは「何のために家を建てるのか」「何を守りたいのか」を明確にしてから、情報収集で選択肢を広げる方が効率的です。
A5. 「10年後」と「20年後」の2つの節目をイメージしておくと十分です。子どもの成長、働き方の変化、親の介護などを想像し、「変わっても困らない間取り」と「今だからこそ楽しみたい空間」を分けて設計するのが現実的です。
A6. 「どんな暮らしを叶えるのが得意な会社か」を基準に選ぶのがおすすめです。大手の安心感を重視するのか、暮らしの提案力や自由度を重視するのかを明確にし、初回相談で「暮らしの話」をどれだけ聞いてくれるかを確認すると、自分たちの価値観と相性の良いパートナーを見つけやすくなります。
A7. 多くの住宅会社や専門サイトが「価値観チェックシート」や「暮らしの優先度診断」を公開しています。「家に求める機能性とデザイン」「立地と建物への予算配分」「情報収集の整理方法」などを項目化したシートを使うと、家族の価値観を短時間で可視化しやすくなります。
A8. 「エリア」「間取り・広さ」「性能」「デザイン」「予算」の5項目で点数付けする方法が分かりやすいです。各項目について、重要度を1〜5点で評価し、家族全員の合計点が高い順に優先することで、迷ったときにもぶれにくい判断軸になります。
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